施術を終えて医院を出たあと、最初に困るのが夕飯です。「色の濃いものは控えてください」と言われたものの、目の前の定食が該当するのかどうかは判断がつきません。
覚えるべきなのは、食べていいものの一覧ではありません。色の濃さ・酸性かどうか・歯に絡むかどうかという3つの軸です。この軸さえ持っていれば、一覧に載っていない食品でもその場で判断できます。まず、なぜ制限が必要なのかから見ていきましょう。
なぜ食事に気をつける必要があるのか
歯の表面は、ペリクルと呼ばれる薄い膜で覆われています。唾液に含まれるたんぱく質からできたもので、色素が直接エナメル質に触れないよう守る役割を担っています。
ホワイトニングの施術では、薬剤を作用させる過程でこの膜が一時的に失われます。再生するまでには24〜48時間かかるとされ、その間の歯は普段よりも色素を受け取りやすい状態です。同じコーヒーでも、施術の翌日に飲むのと1週間後に飲むのとでは、色の付き方が違ってきます。
なお、これは薬剤が歯に作用する仕組みとは別の話です。薬剤そのものの働きについてはホワイトニングの仕組みとは?で解説しています。
いつまで制限するのか
制限の長さは、どの方法で行ったかによって変わります。
| 施術の方法 | 気をつける時間の目安 |
|---|---|
| 歯科医院で行う施術のあと | 24時間(長めに見るなら48時間) |
| 自宅で行う施術のあと | 1〜2時間程度 |
| いずれの場合も、施術の直後 | 30分ほどは飲食を控える |
差が生まれる理由は、失われるペリクルの量にあります。医院での施術は高い濃度の薬剤を短時間で作用させるため、膜が大きく失われます。一方、自宅で行う方法は低い濃度の薬剤を毎日続ける設計なので、1回あたりの影響は小さくなります。医院での施術についてはオフィスホワイトニングとは?、自宅での流れはホームホワイトニングのやり方にまとめました。
ただし、ここに挙げた時間はあくまで一般的な目安です。使った薬剤や歯の状態によって指示は変わるため、通っている歯科医院から時間を伝えられている場合は、そちらを優先しましょう。
※ホワイトニングは自由診療(保険適用外)です。
・主なリスク・副作用:施術中や施術後に歯がしみる(知覚過敏)、歯ぐきの一時的な白濁や刺激感、時間の経過にともなう色調の後戻りが生じる場合があります
・受けられない場合:無カタラーゼ症の方、妊娠中・授乳中の方、未治療の虫歯や重度の歯周病がある方などは受けられない場合があります
・効果の感じ方や必要な期間には個人差があります
避ける食品を見分ける3つの軸
「白い食べ物なら大丈夫」という覚え方は、半分しか当たっていません。次の3つで見ると、判断の精度が上がります。
| 軸 | 見るポイント | 該当する例 |
|---|---|---|
| ① 色の濃さ | 白い服に付いたらシミになるか | カレー、ソース、ケチャップ、赤ワイン、コーヒー、紅茶、緑茶、ウーロン茶、チョコレート、ベリー類、キムチ |
| ② 酸性かどうか | 口に入れて酸っぱいと感じるか | 柑橘類、酢の物、ドレッシング、炭酸飲料、白ワイン、梅干し |
| ③ 歯への絡みやすさ | とろみがある、粘つく、繊維が挟まる | あんかけ、トマトソース、餡、粘度の高いタレ |
軸①:色が濃く、落ちにくいか
もっとも分かりやすい軸です。白い布に落としたときにシミになるものは、歯にも同じことをします。醤油やソースを使った料理は、見た目の色そのままに考えて差し支えありません。
軸②:酸性かどうか
見落とされやすいのがこちらです。酸はエナメル質の表面を一時的に軟らかくします。軟らかくなった状態で色素に触れると、普段より深くまで入り込みます。
白ワインが要注意とされるのはこのためです。色は薄くても酸性度が高く、そのあとに口にしたものの色を受け入れやすい状態を作ってしまいます。柑橘系のドリンクやドレッシングも同じ理屈です。
軸③:歯に絡んで残りやすいか
口の中に留まる時間が長いほど、色素が触れ続けます。とろみのあるタレやあんかけは、飲み込んだあとも歯の表面に残ります。同じトマトでも、生のトマトより煮詰めたソースのほうが影響が大きいのはこの差です。
この軸を持っていると、「白いから安全」という判断の穴も埋められます。たとえば豆腐そのものは問題ありませんが、醤油をかければ軸①に該当します。食材ではなく、口に入る状態で判断するのがコツです。
判断に迷う場面は人それぞれ違います。生活のリズムに合った方法は、状態を見てもらいながら相談できます。
制限中に選びやすいもの
3つの軸を通過しやすいのは、次のようなものです。
- 主食:白米、食パン、うどん、そうめん
- 主菜:鶏肉、白身魚、卵、豆腐、チーズ
- 副菜:じゃがいも、大根、カリフラワー、キャベツ、白菜
- 飲み物:水、牛乳、白湯
大切なのは、味付けまで含めて考えることです。白身魚も煮付けにすれば醤油の色が付きますし、うどんも濃い色のつゆなら軸①に該当します。塩・こしょう・だしなど、色の薄い味付けを選べば、選択肢は思ったより広く残ります。
外食や中食でも同じ考え方で組み立てられます。塩味の麺類、鶏肉のサンドイッチ、クリーム系のスープ。この判断ができれば、制限中に食べるものがなくて困る、という事態は避けられます。
うっかり食べてしまったときは
制限中にカレーを食べてしまった。会食でワインが出てきた。こうしたことは起こります。1回で取り返しがつかなくなるわけではありません。
その場でできることは3つあります。
- 水を飲んで口の中を流す。色素が留まる時間を短くします
- 時間をおいてから歯を磨く。とくに酸性のものを口にした直後は、表面が軟らかくなっているため強くこすらないほうが安全です
- 次の1食を軸の内側に戻す。続けて色の濃いものを重ねないことのほうが影響は大きくなります
過度に神経質になる必要はありません。制限期間を意識して過ごせているなら、1回の例外で結果が大きく変わることは考えにくいものです。
制限が終わったあと、色を保つには
24時間や48時間を過ぎれば、食事は元どおりです。ただし、その後の習慣が色の持ちを決めます。
色は時間とともに戻っていきますが、そのスピードは一定ではありません。コーヒーを1日3杯飲む生活と、週に2〜3杯の生活とでは、次に施術を受けるまでの間隔が変わります。維持のための施術は3〜6ヶ月に1回程度が中心ですが、着色しやすい習慣が少なければ間隔は延びていきます。詳しくはホワイトニングの頻度は?をご覧ください。
日常でできる工夫としては、色の濃い飲み物のあとに水を口に含む、ストローを使って前歯に触れさせない、定期的に清掃を受ける、といったところです。飲食による着色がどう蓄積するかは歯の黄ばみを取る方法は原因で決まるで整理しています。
ホワイトニングと食事に関するよくある質問
コーヒーはもう飲めないのですか?
制限があるのは施術の前後だけです。それ以降は普段どおり飲めます。ただし頻度が高いほど色は戻りやすくなるため、飲んだあとに水を口に含む、といった工夫で差がつきます。
制限中にお酒は飲めますか?
赤ワインは色の濃さ、白ワインは酸性度の観点でどちらも避けたい部類に入ります。ビールも麦の色があります。制限時間内であれば、水や牛乳以外の選択は控えるほうが安心です。
施術の当日に会食の予定があります
医院での施術は制限が24時間ほど続くため、会食の前日や当日は避けて予定を組むほうが無理がありません。日程の調整が難しい場合は、制限の軽い方法を選ぶという考え方もあります。予約の際に伝えておくと、進め方を一緒に検討できます。
タバコはどうですか?
タバコのヤニは代表的な着色の原因です。ペリクルが失われている時間帯は色素がとくに付きやすいため、食事と同じく制限時間内は控えることをおすすめします。
まとめ|覚えるのはリストではなく3つの軸
ホワイトニングのあとに食事の制限があるのは、歯を守っていたペリクルが一時的に失われるためです。再生には24〜48時間かかり、その間は色素が入りやすくなります。制限の長さは方法によって違い、医院での施術なら24時間、自宅で行う方法なら1〜2時間程度が目安です。
避ける食品を判断するときは、色の濃さ・酸性度・歯への絡みやすさの3つで見ます。この軸があれば、一覧に載っていない料理でもその場で判断できます。「白ければ安全」ではなく、味付けまで含めた状態で見るのがコツです。
そして、うっかり食べてしまっても取り返しはつきます。水で流し、次の1食を戻せば十分です。制限期間が終わったあとは、日常の頻度が色の持ちを決めていきます。無理なく続けられる範囲で整えていきましょう。
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※ホワイトニングは自由診療(保険適用外)です。
・治療内容:マウスピースを用いたホームホワイトニング
・標準的な費用:初月22,000円(税込/マウスピース作成を含む)、2ヶ月目以降11,000円/月(税込)。マウスピースをお持ちの方は初月11,000円(税込)
・主なリスク・副作用:施術中や施術後に歯がしみる(知覚過敏)、歯ぐきの一時的な白濁や刺激感、時間の経過にともなう色調の後戻りが生じる場合があります
・受けられない場合:無カタラーゼ症の方、妊娠中・授乳中の方、未治療の虫歯や重度の歯周病がある方などは受けられない場合があります
・効果の感じ方や必要な期間には個人差があります

