丁寧に磨いているつもりでも、歯の色は変わらない。ホワイトニングをうたう歯みがき粉を何ヶ月か使ってみても、実感がない。磨き方の問題だろうかと考えて、力を入れて磨くようになった。この流れをたどる方は少なくありません。
けれど、原因によっては磨いても落ちないのが歯の黄ばみです。歯の色は、外側から付いたものと、歯そのものが持っている色の2つで決まります。前者は落とす対象、後者は変える対象で、必要な手段がまったく違います。ここでは原因を5つのタイプに分け、それぞれに効く手段と、自分でもできる見分け方を整理します。
黄ばみは「外側から付いたもの」と「歯そのものの色」に分かれる
まず、この2つを分けて考えるところから始めます。
外側から付いたものは、飲食物に含まれる色素が歯の表面に付着したり、歯垢や歯石が沈着したりしたものです。歯の上に乗っている状態なので、落とすことができます。
歯そのものの色は、歯の内部にある象牙質の色や、歯質そのものの性質によるものです。表面には何も付いていないため、落とすという発想では対処できません。こちらは変えるしかありません。
磨いて落ちるのは前者だけです。後者にどれだけ力を入れても、状況は変わりません。原因を取り違えたまま同じ手段を続けると、時間だけが過ぎていきます。
5つの原因タイプと、効く手段
原因ごとに、何が起きていて、どの手段が対応するのかを整理します。
| 原因タイプ | 何が起きているか | 効く手段 |
|---|---|---|
| 表面の着色(ステイン) | 飲食物や喫煙による色素が表面に付着している | クリーニング/日々の歯みがき |
| 歯垢・歯石の沈着 | 汚れが固まり、その下や周囲にも着色が入り込んでいる | 歯科医院でのクリーニング |
| 加齢による変化 | 象牙質が厚くなり、エナメル質が薄くなっている | ホワイトニング |
| もともとの歯質 | 生まれつきの色、抗生物質の影響による変色 | ホワイトニング(変化が出にくいこともある) |
| 神経を失った歯 | 象牙質が内側から暗く変色している | 歯の内側から行う処置 |
このほか、詰め物・被せ物・差し歯といった人工物の色は、どの手段でも変わりません。 素材そのものの色なので、揃えたい場合は作り直しの相談になります。また、虫歯の進行による変色は治療が先です。
市販の歯みがき粉がどこまで届くのかについては、ディノベートとは?で製品区分の観点から解説しています。
自分の黄ばみを見分けるヒント
正確な切り分けは診察が要りますが、鏡である程度の見当はつけられます。
- 全体が均一に黄色い — 内側の色である可能性があります。1本だけでなく、上下の歯が同じように色づいている場合はこちらに寄ります
- 部分的に茶色い線や点がある、歯と歯の間が濃い — 外側から付いたものである可能性があります。色の濃淡がはっきり分かれているのが特徴です
- 1本だけ暗い、灰色がかっている — 神経を失った歯の可能性があります。周囲と明らかに色が違う場合はこちらを疑います
- 白い斑点がある — エナメル質の形成に関わる状態かもしれません。周囲との明るさの差が変化することもあるため、相談してから進めるほうが無難です
ただし、実際には両方が重なっていることがほとんどです。表面の着色を落としてみて、それでも残る色が内側の色、という順番で切り分けると分かりやすくなります。歯科医院でどこまで分かるかは歯医者のホワイトニングで解説しています。
加齢による黄ばみが磨いても落ちない理由
40代前後から色の変化を感じる方が多いのは、歯の構造に理由があります。
歯は、外側のエナメル質が内側の象牙質を覆う構造をしています。このうち象牙質は、もともと黄色みを帯びた組織です。エナメル質は半透明なので、その黄色みがある程度透けて見えています。
ここで、年齢とともに2つの変化が起こります。象牙質は厚みを増していき、エナメル質はすり減って薄くなっていくのです。つまり、黄色い層が厚くなり、それを覆う層が薄くなる。結果として、内側の色がより透けて見えるようになります。
この場合、歯の表面には何も付いていません。磨いても、削っても、内側の色が変わらない以上は解決しないということになります。対応する手段は、内側の色に働きかける方法です。仕組みはホームホワイトニングとは?で解説しています。
自分の黄ばみがどのタイプなのかは、診察であればその場で切り分けられます。
手段ごとの費用と期間の目安
どこまでやるかを決める材料として、手段ごとの規模感を並べます。
| 手段 | 費用の目安(税込) | 期間の目安 |
|---|---|---|
| 日々の歯みがき | 数百〜数千円 | 継続して行うもの |
| 歯科医院でのクリーニング | 数千〜10,000円前後 | 1回30〜60分 |
| 歯科医院でのホワイトニング | 1回15,000〜40,000円程度 | 1回30分〜1時間 |
| 自宅で進めるホワイトニング | 20,000〜40,000円程度 | 1〜3ヶ月 |
クリーニングは、歯周病の治療の一環として行う場合、保険が適用されるケースもあります。
※ホワイトニングは自由診療(保険適用外)です。上記は一般的な費用の目安であり、特定の医院の料金ではありません。
・主なリスク・副作用:施術中や施術後に歯がしみる(知覚過敏)、歯ぐきの一時的な白濁や刺激感、時間の経過にともなう色調の後戻りが生じる場合があります
・受けられない場合:無カタラーゼ症の方、妊娠中・授乳中の方、未治療の虫歯や重度の歯周病がある方などは受けられない場合があります
・効果の感じ方や必要な期間には個人差があります
ここで押さえておきたいのが、原因が外側から付いたものであれば、いちばん手前の手段で足りることが多いという点です。数万円をかける前に、まず表面を落としてみる。それで解決するなら、そこで終わりです。原因が分かったあとの方法選びはホワイトニングのおすすめで整理しています。
やらないほうがいいこと
黄ばみが気になると、力任せの対処に向かいがちです。ただし、次の3つは逆効果になりえます。
強く磨く、硬い歯ブラシで力を入れる — エナメル質は少しずつすり減ります。薄くなれば内側の黄色みがより透けるため、黄ばんで見える方向に進みます。
研磨力の強いもので削り取ろうとする — 表面に細かい傷がつくと、そこに着色が入り込みやすくなります。落としたつもりが、着きやすい状態を作ることになります。
家庭にあるもので磨く — 研磨の程度を管理できないため、どれだけ削っているかが分かりません。
共通しているのは、落とす対象がないところを削っても状況は改善しないということです。むしろ内側の色が目立つ方向に働きます。
歯の黄ばみに関するよくある質問
ホワイトニング歯みがきを使っても変わりません
市販の歯みがき粉は、歯の表面に付いた着色に働くものです。原因が内側の色であれば、変化は出にくくなります。使っても変わらないという結果自体が、原因を切り分ける手がかりになります。
何歳くらいから黄ばみますか?
加齢にともなう変化は少しずつ進むため、はっきりした境目はありません。ただ、写真を見比べて気づく方が多いのは30代後半から40代にかけてです。進み方には個人差があります。
1本だけ色が違うのですが
過去に神経の治療を受けた歯かもしれません。この場合、周囲の歯と同じ方法では色が揃いません。歯の内側から行う処置など、別の対応になるため、まず状態を確認してもらってください。
クリーニングとホワイトニングは両方必要ですか?
原因によります。表面の着色だけであればクリーニングで足りますし、内側の色が主であればクリーニングだけでは変わりません。順番としては表面を落としてから判断すると、余計な費用をかけずに済みます。
まとめ|落とすのか、変えるのか
歯の黄ばみを取る方法は、原因によって決まります。外側から付いたものは落とす、歯そのものの色は変える。この2つは手段がまったく違うため、取り違えたまま続けても結果につながりません。
見分けの手がかりは、色の付き方にあります。全体が均一なら内側、部分的な線や点なら外側、1本だけ暗いなら神経を失った歯の可能性。実際には重なっていることが多いため、まず表面を落として、残った色を見るという順番が分かりやすくなります。
そして、加齢による黄ばみは象牙質が厚くなりエナメル質が薄くなるために起こるもので、磨いて落ちるものではありません。強く磨くとかえって進む方向に働きます。原因を確かめてから手段を選ぶことが、遠回りに見えていちばんの近道です。
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※ホワイトニングは自由診療(保険適用外)です。
・治療内容:マウスピースを用いたホームホワイトニング
・標準的な費用:初月22,000円(税込/マウスピース作成を含む)、2ヶ月目以降11,000円/月(税込)。マウスピースをお持ちの方は初月11,000円(税込)
・主なリスク・副作用:施術中や施術後に歯がしみる(知覚過敏)、歯ぐきの一時的な白濁や刺激感、時間の経過にともなう色調の後戻りが生じる場合があります
・受けられない場合:無カタラーゼ症の方、妊娠中・授乳中の方、未治療の虫歯や重度の歯周病がある方などは受けられない場合があります
・効果の感じ方や必要な期間には個人差があります

