歯の色が気になる。ただ、数万円を自分のために使うことにためらいがある。保険が使えるなら、それで済ませたい。そう考えるのは自然なことです。
結論から書くと、歯の色を明るくする施術に健康保険は使えません。ただし、色の悩みの一部は保険の範囲にある処置で解決します。大切なのは、自分の変色がどちら側なのかを見分けることです。まず、保険と自費を分けている基準から整理していきましょう。
結論:ホワイトニングは保険適用外
公的医療保険は、病気やけがの治療と、失われた機能を取り戻すことを目的とした制度です。噛めるようにする、痛みを取る、感染の広がりを止める。こうした処置が対象です。
歯の色を明るくする施術は、噛む機能を回復させるものではありません。見た目を整えることが目的である以上、制度の対象からは外れます。これは特定の医院の方針ではなく、全国どこでも同じ扱いです。
したがって費用は全額自己負担になります。自費だから質が下がるという話ではなく、制度が想定している目的が違うということです。
保険と自費を分ける基準は「目的」
「審美目的だから自費」と言われても、腑に落ちにくいかもしれません。虫歯で黒くなった歯を治せば白く見えるようになりますが、こちらは保険で受けられます。
境界を分けているのは、その処置が何を目的としているかです。
| 処置 | 主な目的 | 保険の扱い |
|---|---|---|
| 虫歯の治療と、それに伴う詰め物 | 疾患の治療・噛む機能の回復 | 対象 |
| 歯石の除去、機械的な歯面の清掃 | 歯周病の診断・治療 | 治療に必要な範囲で対象 |
| 歯を失った部分を補う処置 | 機能の回復 | 対象 |
| 薬剤で歯の色調を明るくする施術 | 見た目の改善 | 対象外 |
| 変色した詰め物・被せ物の入れ替え(見た目のため) | 見た目の改善 | 対象外 |
虫歯の治療で結果的に見た目が良くなるのは、あくまで治療に伴う副次的な変化です。目的が疾患の治療にある限り、保険の対象になります。逆に、健康な歯の色だけを明るくしたい場合は、治すべき疾患がないため対象から外れます。
なお、虫歯がある状態でホワイトニングを受けるのは避けたほうがよい理由が別にあります。詳しくは虫歯があってもホワイトニングできる?をご覧ください。
保険の範囲で色の悩みが解決するケース
ここが、この記事でもっとも実利のある部分です。あなたの気にしている色が、歯そのものの色ではない可能性があります。
表面の着色による変色
コーヒー・紅茶・赤ワイン・タバコによる着色は、歯の表面に付着したものです。歯の内部の色調が変わったわけではありません。この場合、清掃で落とせば色は戻ります。薬剤を使う施術は必要ありません。
自分の変色がどのタイプかは歯の黄ばみを取る方法は原因で決まるで見分けられます。ここを確かめずに自費の施術を選ぶと、必要のない支出になりかねません。
歯石が付いている場合
歯石そのものが黄色や茶色を帯びて、歯の色をくすませて見せていることもあります。歯石の除去は、歯周病の診断や治療に必要な範囲で行う場合、保険の対象に入りうる処置です。
ただし、疾患の治療とは関係なく見た目のためだけに清掃を希望する場合は、自費として扱われます。同じ処置でも、目的によって扱いが変わるということです。自分がどちらに当てはまるかは、口の中の状態を診てもらわないと判断できません。
まずは変色の正体を確かめるところからです。状態を見てもらえば、清掃で済むのか施術が要るのかはその場で分かります。
保険と混同されやすい自費の処置
「病気が原因の変色なら保険になるのでは」と考えたくなるケースがあります。しかし、実際には自費として扱われるものが多くあります。
神経を失った歯の変色への処置
外傷や治療によって神経を失った歯は、内側から暗く変色していくことがあります。この場合、歯の内側に薬剤を入れて色調の改善を目指す方法が選択肢に挙がります。
治療の一環のように見えますが、目的は見た目の改善です。そのため、こちらも自費での対応です。
詰め物・被せ物の色
人工の材料でできた部分は、薬剤で色が変わりません。詳しい理由はホワイトニングの仕組みとは?で解説しています。
色を揃えたい場合は作り替えることになりますが、機能に問題がなく見た目だけの理由であれば、こちらも自費です。なお、周りの歯を先に明るくしてから人工物の色を合わせる、という順番が基本です。
自費だからこそ、料金に幅がある
保険診療は点数が全国共通ですが、自費診療は医院ごとに料金を設定できます。同じ「ホワイトニング」でも金額に開きが出るのはこのためです。
目安としては、自宅で行う方法で20,000〜40,000円程度、歯科医院で行う施術で1回15,000〜40,000円程度、複数回のコースを組むと50,000〜100,000円程度といったところです。
※ホワイトニングは自由診療(保険適用外)です。本記事で示す金額はいずれも一般的な費用の目安であり、特定の医院の料金ではありません。
・主なリスク・副作用:施術中や施術後に歯がしみる(知覚過敏)、歯ぐきの一時的な白濁や刺激感、時間の経過にともなう色調の後戻りが生じる場合があります
・受けられない場合:無カタラーゼ症の方、妊娠中・授乳中の方、未治療の虫歯や重度の歯周病がある方などは受けられない場合があります
・効果の感じ方や必要な期間には個人差があります
料金の内訳はホワイトニングの値段はいくら?に、負担を抑える考え方はホワイトニングを安く抑えるには?にまとめました。保険は使えなくても、総額を下げる手段は残っています。
もう1つ、費用を考えるうえで押さえておきたい視点があります。保険で受けられる処置を土台にするという組み立て方です。歯周病の管理として定期的に清掃を受けていれば、表面の着色が積み重なりにくくなります。色が戻るスピードが緩やかになれば、自費の施術を受ける間隔も延びていきます。
つまり、保険が使えるのは施術そのものではなく、その手前と、その後の維持の部分だということです。ここを利用しない手はありません。
なお、保険とは別に医療費控除という税制上の仕組みがありますが、美容を目的とした施術は対象外という扱いです。保険が効かないこととは別の話なので、混同しないようにしましょう。
ホワイトニングの保険に関するよくある質問
生まれつき歯が黄色い場合も自費ですか?
色調を明るくする施術である以上、原因が何であっても自費という扱いは変わりません。ただし、原因によって薬剤の届き方が違うため、まずは変色のタイプを確かめることをおすすめします。
歯石取りだけで白くなりますか?
歯石や表面の着色が色の主な原因であれば、清掃で見た目が変わります。一方、歯の内部の色調が変化している場合は、清掃では動きません。どちらが主な原因かは診てもらえば判断できます。
保険の治療と同じ日に受けられますか?
医院の運用によって異なるため、予約の際に確認しておくと確実です。保険の処置を先に済ませ、別の機会に自費の施術を進めるという流れをとる医院もあります。
医療費控除は使えますか?
美容を目的とした施術は対象外という扱いです。ただし治療を目的とする処置が含まれる場合の判断は状況によるため、詳しくは税務署や歯科医院に確認してください。
まとめ|「保険が効かない」と「打つ手がない」は別
歯の色を明るくする施術は、見た目の改善を目的とするため保険の対象外です。制度が想定しているのは疾患の治療と機能の回復で、そこに当てはまらないという理由によります。
ただし、あなたの気にしている色が表面の着色や歯石によるものなら、話は変わります。歯周病の治療の一環として行われる清掃であれば、保険の範囲に入りうるからです。この場合、自費の施術を受けずに解決する可能性があります。
一方、神経を失った歯の変色への処置や、人工物の色を揃える作り替えは、治療のように見えても目的が見た目の改善であるため自費です。
まずは自分の変色が何によるものかを確かめること。そこが決まれば、保険の範囲で済むのか、自費で進めるのか、判断の材料がそろいます。
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※ホワイトニングは自由診療(保険適用外)です。
・治療内容:マウスピースを用いたホームホワイトニング
・標準的な費用:初月22,000円(税込/マウスピース作成を含む)、2ヶ月目以降11,000円/月(税込)。マウスピースをお持ちの方は初月11,000円(税込)
・主なリスク・副作用:施術中や施術後に歯がしみる(知覚過敏)、歯ぐきの一時的な白濁や刺激感、時間の経過にともなう色調の後戻りが生じる場合があります
・受けられない場合:無カタラーゼ症の方、妊娠中・授乳中の方、未治療の虫歯や重度の歯周病がある方などは受けられない場合があります
・効果の感じ方や必要な期間には個人差があります

