ホワイトニングに数万円かかった。医療費控除という制度があるのは知っているけれど、自費診療だから対象外なのだろうか——確定申告の時期に、このあたりで手が止まる方は多いはずです。
先に結論を書きます。ホワイトニング本体は原則として対象外です。 ただし、線を引いているのは「自費かどうか」というところではないのです。ここを取り違えると、申告できるはずの分まで落としてしまいます。
結論:ホワイトニング本体は対象外。ただし線は「自費かどうか」ではない
| よくある理解 | 実際の判断の軸 | |
|---|---|---|
| 何で分かれるか | 保険が使えるか、自費か | 美容目的か、治療目的か |
| 自費診療は | すべて対象外 | 治療を目的とするものは対象になりうる |
| ホワイトニングは | 自費だから対象外 | 見た目を整える処置だから対象外 |
結論は同じでも、理由が違います。そして理由が違うと、同じ年に受けた他の処置の扱いが変わってきます。
国税庁の考え方
歯科の分野で判断の軸がはっきり示されているのが、歯列矯正についての国税庁の質疑応答です。そこには次のように書かれています。
発育段階にある子供の成長を阻害しないようにするために行う不正咬合の歯列矯正のように、歯列矯正を受ける者の年齢や矯正の目的などからみて社会通念上歯列矯正が必要と認められる場合の費用は、医療費控除の対象となりますが、容姿を美化し又は容貌を変えるための歯列矯正の費用は、医療費控除の対象とはなりません。
ポイントは2つあります。
- 「社会通念上必要と認められる場合」は対象になる
- 「容姿を美化し又は容貌を変えるため」のものは対象にならない
同じ質疑応答では、「将来の就職や結婚を考慮しての歯列矯正」は一般的に容姿を美化するためのものと認められる、とも示されています。動機がどれだけ切実でも、目的が見た目にあれば対象外という整理です。
ホワイトニングに当てはめると
この考え方をそのまま当てはめると、ホワイトニングは歯の色という見た目を整える処置にあたります。噛む・話すといった機能を回復するための処置とは性質が違います。
したがって、ホワイトニング本体は原則として対象外と扱われます。保険が使えない理由と同じところに行き着きますが、判断している制度は別です。
保険適用と医療費控除は別の制度
ここが混同されやすいところです。
| 保険適用 | 医療費控除 | |
|---|---|---|
| 何の制度か | 窓口で支払う額そのものが軽くなる | 支払った医療費をもとに、所得から差し引く |
| 判断するのは | 公的医療保険の枠組み | 税の制度 |
| 判断の軸 | 病気の治療にあたるか | 治療を目的としているか |
似た軸で判断されるため結論が重なることは多いのですが、「保険が使えない=控除も使えない」と決めつけることはできません。 自費診療でも、治療を目的とする処置は対象になりうるためです。
保険が使える範囲と使えない範囲の考え方はホワイトニングに保険は使える?にまとめました。
「払った分が戻ってくる」制度ではない
もう1つ、性質そのものの誤解があります。医療費控除は、支払った医療費の全額がそのまま返ってくる制度とは違います。
一定の額を超えた分が所得から差し引かれ、その結果として税額が変わるという仕組みです。差し引かれるのは「所得」であって、戻ってくるのは税金の一部にあたります。
具体的な計算は年度や所得によって変わるため、国税庁の案内で最新の内容を確認しておきましょう。ここを知らないまま「対象になるかどうか」だけを調べていると、手間に対して見合うのかの判断ができません。
自分が受ける予定の処置がどちらにあたるかは、相談の場で確認できます。
同じ年の医療費のなかで、対象と対象外が混ざる
ここが本記事でいちばん伝えたいところです。ホワイトニングを受けるまでの間に、別の処置を受けていることがよくあります。
| 処置 | 扱い |
|---|---|
| ホワイトニング本体 | 対象外 |
| その前に受けた虫歯の治療 | 対象になりうる |
| 歯周病の治療の一環で行った処置 | 対象になりうる |
| 噛み合わせや発音の回復を目的とした処置 | 対象になりうる |
| 見た目を整えるための被せ物のやりかえ | 目的により分かれる |
ホワイトニングを始める前に虫歯の治療が入ることは珍しくありません。順番については虫歯があってもホワイトニングできる?を、歯ぐきの状態が先になるケースはホワイトニングで口臭は変わる?をご覧ください。
「ホワイトニングは対象外だから」と全部をあきらめてしまうと、拾えるはずの分を落とします。 同じ年に支払った医療費全体で見る、という視点を持ってください。
歯科以外の医療費も同じ枠で合算します。その年に内科や整形外科にかかっていれば、それらも含めて集計する対象です。ホワイトニングという1つの処置を起点に考えると、範囲が狭く見えてしまうという構図があります。
明細をどう確認するか
実務として押さえておきたいのは次の3点です。
領収書に何が書かれているか。 「自費診療」とだけ書かれている場合、中身が読み取れません。処置ごとに分かれているかを確認しておきましょう。
内訳が分からない場合は歯科医院に確認できる。 どの処置がいくらだったのかは、記録から出せます。同じ日に複数の処置を受けた場合は特に、内訳を出してもらうと整理しやすくなります。
最終的な判断は税務署に確認する。 個別のケースが対象になるかどうかは、状況によって変わります。この記事は考え方の整理であって、個別の判定ではありません。迷う場合は、明細を持って税務署に相談してください。
なお、ホワイトニングの費用そのものは、自宅で行う方法で20,000〜40,000円程度が目安です。方法別の相場はホワイトニングの値段はいくら?、一度きりの費用と続く費用の分け方はホームホワイトニングの値段は「一度きり」と「続く分」に分けて見るにまとめました。控除に頼らず費用を抑える手段はホワイトニングを安く抑えるには?で整理しています。
※ホワイトニングは自由診療(保険適用外)です。本記事で示す金額はいずれも一般的な費用の目安であり、特定の医院の料金ではありません。
・主なリスク・副作用:施術中や施術後に歯がしみる(知覚過敏)、歯ぐきの一時的な白濁や刺激感、時間の経過にともなう色調の後戻りが生じる場合があります
・受けられない場合:無カタラーゼ症の方、妊娠中・授乳中の方、未治療の虫歯や重度の歯周病がある方などは受けられない場合があります
・効果の感じ方や必要な期間には個人差があります
ホワイトニングと医療費控除に関するよくある質問
歯科医院に「医療費控除の対象になりますか」と聞いていいですか?
処置の内容と目的については答えてもらえます。ただし控除の可否そのものは税の判断になるため、歯科医院が確定的な回答をするのは難しいところです。内訳を出してもらい、判断は税務署に確認するという分担が現実的です。
家族の分と合算できますか?
医療費控除は生計を一にする家族の分を合わせて申告できる制度です。ただし、そのうち対象になるかどうかは処置ごとに判断されます。家族の誰かがホワイトニングを受けていても、その分は対象外という扱いになります。
交通費は対象になりますか?
通院にかかった交通費が対象に含まれる場合があります。ただし、対象外の処置のために通った分まで含められる、という関係とは違います。ここも判断が分かれるところなので、税務署に確認しておきましょう。
領収書はいつまで保管しますか?
申告後も一定期間の保管が求められます。年度によって扱いが変わることがあるため、その年の案内で確かめておきましょう。歯科医院で再発行できる場合もありますが、期間には限りがあります。
まとめ|「自費か保険か」ではなく「美容か治療か」で分ける
ホワイトニングは、原則として医療費控除の対象外です。ただしその理由は「自費診療だから」というところにはありません。歯の色という見た目を整える処置だからです。
国税庁の考え方は、歯列矯正についての質疑応答にはっきり示されています。社会通念上必要と認められるものは対象になり、容姿を美化し又は容貌を変えるためのものは対象にならない。 動機の切実さではなく、目的によって分かれます。
そして押さえておきたいのが、同じ年の医療費のなかに対象と対象外が混ざるという点です。ホワイトニングの前に受けた虫歯の治療や、歯ぐきの治療は、対象になりうるものです。
明細の内訳は歯科医院に出してもらえます。そのうえで、最終的な判断は税務署に確認してください。
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※ホワイトニングは自由診療(保険適用外)です。
・治療内容:マウスピースを用いたホームホワイトニング
・標準的な費用:初月22,000円(税込/マウスピース作成を含む)、2ヶ月目以降11,000円/月(税込)。マウスピースをお持ちの方は初月11,000円(税込)
・主なリスク・副作用:施術中や施術後に歯がしみる(知覚過敏)、歯ぐきの一時的な白濁や刺激感、時間の経過にともなう色調の後戻りが生じる場合があります
・受けられない場合:無カタラーゼ症の方、妊娠中・授乳中の方、未治療の虫歯や重度の歯周病がある方などは受けられない場合があります
・効果の感じ方や必要な期間には個人差があります

