歯の色も気になるし、匂いも気になる。どちらも口の中のことだから、ホワイトニングをすればまとめて良くなるのではないか——そう考えるのは自然です。薬剤に殺菌の働きがあるという記述を見かけたなら、なおさらでしょう。
ただ、歯の色と口臭は、働きかけている対象が違います。 ホワイトニングは口臭を治す処置ではありません。それでも接点が2つあるので、そこを分けて整理します。
結論:口臭を治す処置ではない。ただし接点は2つある
| 対象 | どこにあるか | |
|---|---|---|
| ホワイトニング | 歯の内部の着色分子 | 歯の中 |
| 口臭 | 細菌が作るにおいの成分 | 歯周ポケット・歯と歯の間・舌の上 |
同じ口の中でも、扱っている層が違います。 そのうえで、接点は次の2つです。
- 接点①:施術前のクリーニングが、結果として口臭に働く
- 接点②:施術後に着色を避ける習慣が、口臭にも働く
口臭はどこから来ているか
においの正体は、揮発性硫黄化合物と呼ばれる成分です。口の中の細菌が、食べかすや剥がれた粘膜を分解する過程で作られます。
細菌が多く住んでいるのは次のような場所です。
- 歯周ポケット(歯と歯ぐきのあいだの溝)
- 歯と歯のあいだ
- 舌の表面
さらに、唾液が減ると口の中の細菌が増えやすくなり、においも濃くなります。朝起きたときや、緊張しているときに強く感じるのはこのためです。
見落とされやすいのが、においの強さが一日のなかで動くという点です。起床直後は強く、食事や水分を摂ると和らぎます。「自分は口臭がある」と感じているときが、たまたま強く出る時間帯だったということも起こります。気になる場合は、時間帯を変えて何度か確かめてみてください。
ホワイトニングが働きかけるのは別の層
一方、ホワイトニングの薬剤が働きかけるのは、エナメル質を通り抜けた先にある着色分子です。作用の届く範囲はホワイトニングの仕組みで解説しました。
過酸化水素には、酸化によってにおいを分解する性質があります。ただし施術は限られた時間だけ歯の表面に薬剤を置くもので、口臭の原因に継続して働きかける設計にはなっていません。
「殺菌作用がある成分だから口臭にも効く」という理解は、ここでつまずきます。成分が持つ性質と、その処置が目的としていることは別だと考えてください。
接点①:施術前のクリーニング
とはいえ、ホワイトニングを受けたあとに「口の中がすっきりした」と感じることはあります。 その正体の多くが、施術の前に行うクリーニングです。
歯の表面に着色が残ったままだと薬剤が均一に届かないため、先に表面を整える工程が入ります。このとき落とすのは色素だけではありません。プラークや歯石といった、細菌の住処そのものが減ります。
つまり、口臭が軽くなったと感じたのはホワイトニングの薬剤ではなく、その手前の掃除の効果である可能性が高いということです。
原因ごとに手段が変わる整理は歯の黄ばみを取る方法は原因で決まるに、歯科医院で受ける施術の流れは歯医者のホワイトニングは何が違う?にまとめました。
逆に言えば、クリーニングだけを受けるという選択肢もあります。 自分の悩みがどちらに寄っているかは、診てもらえば整理できます。
接点②:施術後の習慣
もう1つの接点は、施術後に勧められる習慣です。
ホワイトニングのあとは色素が付きやすい状態になるため、色の濃い飲食のあとに水で口をゆすぐ、だらだらと時間をかけて飲食しないといったことが勧められます。判断の軸はホワイトニング後の食事はいつまで制限する?で整理しました。
この2つは、口臭の側から見ても意味を持ちます。口の中に食べ物が留まる時間が短くなれば、細菌が分解する材料も減るためです。
着色対策としてやっていることが、結果として口臭対策にもなっている。 これが2つめの接点です。
施術後に匂いが気になった場合
逆に、「ホワイトニングをしたら匂いが気になるようになった」という方向もあります。きっかけによって見方が変わります。
| きっかけ | 考えられること | どうするか |
|---|---|---|
| 施術中・直後に感じた | 薬剤そのものの匂い。口を開け続けたことによる乾燥 | 水を飲み、時間をおいて様子を見る |
| 数日たってから気になった | 口臭の原因は別にある | 歯ぐきの状態を診てもらう |
| マウスピースが匂う | 洗浄や乾燥が足りていない | 洗い方と保管を見直す |
施術中は口を開けた状態が続くため、口の中が乾きます。唾液が減ると、においは濃くなる方向に動きます。 これは施術に付随する一時的なもので、水分を摂って時間がたてば戻ります。
一方、数日たってから気になり始めた場合は、ホワイトニングとは別のところに原因があると考えるほうが自然です。
なお費用の目安は、自宅で行う方法で20,000〜40,000円程度です。
※ホワイトニングは自由診療(保険適用外)です。本記事で示す金額はいずれも一般的な費用の目安であり、特定の医院の料金ではありません。
・主なリスク・副作用:施術中や施術後に歯がしみる(知覚過敏)、歯ぐきの一時的な白濁や刺激感、時間の経過にともなう色調の後戻りが生じる場合があります
・受けられない場合:無カタラーゼ症の方、妊娠中・授乳中の方、未治療の虫歯や重度の歯周病がある方などは受けられない場合があります
・効果の感じ方や必要な期間には個人差があります
口臭が主な悩みなら、先にすること
歯の色より匂いのほうが気になっている場合、順番はホワイトニングの前にあります。
歯ぐきの検査。 歯周ポケットの深さを測り、炎症があるかを確認します。歯周病の治療は病気を治す処置なので、保険の範囲に入ることがあります。 自費と保険の境界の考え方はホワイトニングに保険は使える?にまとめました。
未治療の虫歯の確認。 進んだ虫歯は、それ自体がにおいの原因になります。順番については虫歯があってもホワイトニングできる?をご覧ください。
舌の状態と唾液の量。 舌の表面に白っぽい付着物がある場合や、口が乾きやすい自覚がある場合は、そちらへの対応が中心になります。
いずれにしても、未治療の虫歯や歯ぐきの炎症があるとホワイトニング自体が後回しになります。 受けられる状態かどうかの整理はホワイトニングができない人は4つに分かれるにまとめました。順番を踏めば、どちらも進められます。
ホワイトニングと口臭に関するよくある質問
薬剤に殺菌作用があると聞きました
過酸化水素は酸化力を持つ成分で、そうした性質が知られています。ただしホワイトニングの施術は、限られた時間だけ歯に薬剤を置くものです。口の中の細菌に継続して働きかける処置とは、目的も設計も違います。
施術中の匂いは何ですか?
薬剤そのものの匂いを感じることがあります。また、口を開けた状態が続くことで口の中が乾き、匂いを感じやすくなる面もあります。多くは一時的なものです。
口臭が治ってからホワイトニングするべきですか?
原因によります。歯ぐきの炎症や未治療の虫歯が背景にある場合、そちらの治療が先になります。結果として、治療を終えてからホワイトニングという順番になることが多いところです。
マウスピースが匂うのですが
洗浄が足りていないか、乾かさずにしまっている可能性があります。使用後は水でよく洗い、しっかり乾かしてから保管してください。落ちない場合は作り直しの対象になります。
まとめ|同じ口の中でも、扱っている層が違う
ホワイトニングは、歯の内部にある着色分子に働きかける処置です。一方、口臭のもとは細菌が作るにおいの成分で、歯周ポケットや舌の上にあります。扱っている層が違うため、ホワイトニングは口臭を治す処置とは言えません。
それでも接点は2つあります。施術前のクリーニングが細菌の住処を減らすことと、施術後に着色を避ける習慣が口臭にも働くことです。「口の中がすっきりした」と感じる正体は、多くの場合この2つです。
匂いのほうが主な悩みであれば、順番はホワイトニングの前にあります。歯ぐきの検査から始めてください。歯周病の治療は保険の範囲に入ることがあり、そこを整えてからのほうがホワイトニングも進めやすくなります。
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※ホワイトニングは自由診療(保険適用外)です。
・治療内容:マウスピースを用いたホームホワイトニング
・標準的な費用:初月22,000円(税込/マウスピース作成を含む)、2ヶ月目以降11,000円/月(税込)。マウスピースをお持ちの方は初月11,000円(税込)
・主なリスク・副作用:施術中や施術後に歯がしみる(知覚過敏)、歯ぐきの一時的な白濁や刺激感、時間の経過にともなう色調の後戻りが生じる場合があります
・受けられない場合:無カタラーゼ症の方、妊娠中・授乳中の方、未治療の虫歯や重度の歯周病がある方などは受けられない場合があります
・効果の感じ方や必要な期間には個人差があります



