「過酸化水素35%」という記述を見て手が止まる。家庭で使う消毒液が3%程度だと知っていれば、驚くのは当然です。自宅で行う方法は10%と書かれているから、その3.5倍だろうか——そう考えたところで、実は前提がずれています。
この2つの数字は、同じものさしの上に乗っていません。 成分が違うためです。さらに薬剤は濃度だけで組み立てられているわけではなく、時間と光を含めた3点で設計されています。
結論:濃度の数字は、そのままでは比べられない
読みどころは3つです。
| 読みどころ | 内容 |
|---|---|
| ① 成分 | 過酸化水素の濃度と過酸化尿素の濃度は、同じ数字でも中身が違う |
| ② 触媒と時間 | 光と触媒を組み合わせれば、濃度を上げずに反応を進められる |
| ③ 承認の範囲 | 高濃度の薬剤には、国内未承認のものを用いる場合がある |
順に見ていきます。
主成分は過酸化水素。何が起きているか
歯科医院で行うホワイトニングの薬剤は、過酸化水素を主成分とするものが中心です。濃度はおおむね15〜35%程度が使われます。
口の中で過酸化水素が分解すると、反応性の高い状態の酸素が生まれます。これが歯の内部にある着色分子に働きかけ、色として見えにくい形に変えていく——これが白くなる仕組みです。作用の全体像はホワイトニングの仕組みで解説しました。
「35%」と「10%」は3.5倍差ではない
ここが最初のずれです。自宅で行う方法で使われる薬剤の主成分は、過酸化水素ではなく過酸化尿素であることが一般的です。
過酸化尿素は口の中で過酸化水素と尿素に分かれます。そして生じる過酸化水素は、もとの濃度のおよそ3分の1です。
| 表示 | 成分 | 実際に働く過酸化水素 |
|---|---|---|
| 35% | 過酸化水素 | 35%程度 |
| 10% | 過酸化尿素 | 3〜4%程度 |
つまり、実際の差は3.5倍ではなく10倍前後になります。この差が、施術時間の違い(30分程度と1日2時間程度)と、変化の速さの違いを生んでいます。
自宅で使う薬剤の濃度の読み方はホームホワイトニングのジェルとは?にまとめました。
数字の意味が分かれば、自分に合う進め方も見えてきます。
光と触媒は何をしているか
施術中に青い光を当てるのを見たことがある方も多いでしょう。あの光の役割は、歯を白くすることそのものとは別のところにあります。
薬剤には触媒が加えられていることがあり、二酸化チタンなどが使われます。波長の短い青い光を当てると、この触媒の働きが活性化し、過酸化水素の分解が進みやすくなります。 光の役割は、反応を後押しすることにあります。
照射は1回8〜15分程度を数回に分けて行うのが一般的です。その合間に薬剤を塗り替えます。施術の時間配分はオフィスホワイトニングの時間は3層で見るで整理しました。
低い濃度でも設計が成立する場合がある
触媒と光を前提にすると、濃度を上げずに反応を進める組み立てが可能になります。過酸化水素3.5%程度という低い濃度で設計された薬剤も存在します。
このことが意味するのは、濃度の数字だけを見ても、その薬剤がどういう設計なのかは分からないということです。低い濃度が「効かない」を意味するわけでも、高い濃度が「よく効く」を意味するわけでもないのです。
濃度・時間・触媒はセットで設計されている
3つの要素は互いに補い合う関係にあります。
| 要素 | 上げると | 下げると |
|---|---|---|
| 濃度 | 短時間で反応が進む。刺激も感じやすくなる | 時間を長く取る必要がある |
| 時間 | 低い濃度でも反応量を確保できる | 濃度か触媒で補う必要がある |
| 触媒と光 | 濃度を抑えたまま反応を進められる | 濃度か時間で補う必要がある |
「濃度を上げれば早く終わる」という単純な関係ではありません。 どこかを変えれば、別のどこかも動きます。歯科医院で行う施術の全体像はオフィスホワイトニングとは?をご覧ください。
なお費用は1回15,000〜40,000円程度、回数を重ねる方式では総額50,000〜100,000円程度が目安です。
※ホワイトニングは自由診療(保険適用外)です。本記事で示す金額はいずれも一般的な費用の目安であり、特定の医院の料金ではありません。
・主なリスク・副作用:施術中や施術後に歯がしみる(知覚過敏)、歯ぐきの一時的な白濁や刺激感、時間の経過にともなう色調の後戻りが生じる場合があります
・受けられない場合:無カタラーゼ症の方、妊娠中・授乳中の方、未治療の虫歯や重度の歯周病がある方などは受けられない場合があります
・効果の感じ方や必要な期間には個人差があります
国内承認の範囲について
3つめの読みどころです。高濃度の薬剤のなかには、国内で承認を受けていないものを用いる場合があります。
自宅で行う方法で使われる薬剤は、国内で承認された過酸化尿素10%程度のものが代表的です。一方、歯科医院で使う高濃度の薬剤については、扱いが分かれます。
これは良し悪しの話ではなく、確認できる事項として押さえておくものです。説明を受けるときは、次のような聞き方ができます。
- 使う薬剤の主成分と濃度
- 国内で承認を受けたものかどうか
- 光を当てるタイプかどうか
- しみやすい場合に調整できる範囲
こうした点を先に聞いておくと、施術中に「思っていたのと違う」という感覚が生まれにくくなります。
高濃度への不安に答える
最後に、数字を見て不安を感じた部分を整理します。
歯がもろくなるのか。 薬剤を使った直後は、エナメル質の表面が一時的に脱灰した状態になります。ただし唾液の働きで再石灰化していきます。詳しくはホワイトニングで歯がもろくなる?にまとめました。
しみるのはなぜか。 濃度が高いほど、象牙細管を通じて刺激が神経に伝わりやすくなります。これは処置の副反応として起こりうるもので、対処の方向もあります。ホワイトニングで知覚過敏になるのはなぜ?で解説しました。
濃度を上げれば白くなるのか。 ここは押さえておきたいところです。どこまで明るくなるかは、薬剤ではなく歯の側の条件で決まります。 段階という数え方の読み方はホワイトニングの「レベル」は何を数えている?に、思ったほど変化がなかったときの確認はオフィスホワイトニングで白くならなかった?にまとめています。
自宅で行う方法と組み合わせる進め方はデュアルホワイトニングとは?をご覧ください。
オフィスホワイトニングの薬剤に関するよくある質問
薬剤を指定して受けることはできますか?
取り扱っている薬剤は歯科医院ごとに決まっており、選べる範囲はその中になります。ただし、しみやすさや希望する期間を伝えれば、濃度や時間の組み立てを調整してもらえることがあります。
濃度の低い薬剤を選べば安全ですか?
濃度が低いほど刺激は感じにくくなる傾向があります。ただし、そのぶん時間や回数で補う設計になるため、通う手間が増える場合があります。安全性と手間のどちらを取るかという話ではなく、組み立てが変わると考えてください。
光を当てないタイプもありますか?
あります。光を前提にせず、濃度と時間で設計された薬剤もあります。どちらが優れているということではなく、設計の考え方が違うだけです。
自宅用の薬剤を濃くすれば同じことになりますか?
同じ条件にはなりません。高濃度の薬剤は、歯ぐきを保護したうえで短時間だけ作用させることを前提に設計されています。自宅で同じ条件を再現するのは難しく、歯ぐきへの刺激につながります。
まとめ|数字は「設計の一部」であって、強さの指標ではない
オフィスホワイトニングの薬剤は、過酸化水素を主成分とし、おおむね15〜35%程度の濃度が使われます。ただしこの数字だけでは薬剤を読めません。
自宅で使う薬剤は過酸化尿素が主成分で、生じる過酸化水素はもとの濃度の約3分の1です。そのため「35%と10%」の実際の差は、3.5倍ではなく10倍前後になります。
さらに、光と触媒を組み合わせれば濃度を抑えたまま反応を進められます。濃度・時間・触媒はセットで設計されており、どれか1つだけを取り出しても意味を持ちません。
説明を受けるときは、主成分と濃度、国内で承認を受けたものかどうか、しみやすい場合の調整の範囲を聞いておくと、納得して進められます。
東京池袋矯正歯科のホワイトニング
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※ホワイトニングは自由診療(保険適用外)です。
・治療内容:マウスピースを用いたホームホワイトニング
・標準的な費用:初月22,000円(税込/マウスピース作成を含む)、2ヶ月目以降11,000円/月(税込)。マウスピースをお持ちの方は初月11,000円(税込)
・主なリスク・副作用:施術中や施術後に歯がしみる(知覚過敏)、歯ぐきの一時的な白濁や刺激感、時間の経過にともなう色調の後戻りが生じる場合があります
・受けられない場合:無カタラーゼ症の方、妊娠中・授乳中の方、未治療の虫歯や重度の歯周病がある方などは受けられない場合があります
・効果の感じ方や必要な期間には個人差があります

