インプラントが入っているから、もう歯を白くするのは無理だろう。そう考えて諦めている方がいます。
実際には、施術そのものは受けられます。ただし、インプラントの部分だけは色が変わりません。そのため、天然歯をどこまで明るくするかを設計する必要があります。すでに入っている場合でも取れる道は3つあり、そのうち作り替えを伴わないものもあります。順に見ていきましょう。
施術は受けられる。ただしインプラントの色は変わらない
薬剤が作用するのは、天然の歯だけです。
インプラントの上に乗っている被せ物(上部構造)は、セラミックやジルコニアといった人工の材料でできています。これらは製造の段階で色が決まっており、薬剤が分解の対象とする有機物の色素を含んでいません。そのため、どれだけ回数を重ねても色は動きません。
仕組みはホワイトニングの仕組みとは?で解説していますが、要点は「薬剤は歯の内部の色素を分解するもの」ということです。分解する対象がなければ、変化も起きません。
これは詰め物・被せ物・差し歯でも同じです。前歯に治療した箇所があるなら、インプラントと同じ考え方で計画を立てることになります。
これから治療する場合の順番
インプラント治療とホワイトニングの両方を考えているなら、順番は決まっています。
- 虫歯や歯周病があれば治療する
- 天然歯の色を目標まで明るくする
- 色が安定してから、その色に合わせて上部構造を作る
先に上部構造を作ってしまうと、あとから天然歯を明るくしたときに置いていかれます。順番を逆にした場合の手戻りは小さくありません。
ここで見落とされやすいのが、3つ目の「色が安定してから」という条件です。施術の直後は、歯の水分バランスと光の反射が一時的に変化しています。 この状態で色を決めると、数日後に落ち着いたときには合わなくなります。
目安としては、最後の施術から数日〜2週間ほど空けてから色を決める設計にします。担当の歯科医師に、いつ色合わせをするかを確認しておきましょう。順番を決めておくことの重要性はホワイトニングの後悔は始める前に決まるでも整理しています。
すでに入っている場合の3つの選択肢
「もう入っているのだが」というのが、多くの方の状況でしょう。この場合、取れる道は3つです。
| 選択肢 | 向いている状況 | 注意点 |
|---|---|---|
| ① 上部構造を作り替える | 天然歯をしっかり明るくしたい。前歯で目立つ位置にある | 自費での対応。費用と期間がかかる。一度作り替えると元には戻せない |
| ② 天然歯の目標をインプラントの色に合わせる | 作り替えを避けたい。今の色に大きな不満はない | 到達できる明るさに上限を設けることになる |
| ③ そのままにする | 奥歯など目立たない位置にある | 天然歯を明るくすると差が出る可能性がある |
先に検討したいのは②です。 天然歯を到達点いっぱいまで明るくするのではなく、インプラントの色を上限として目標を設定するという考え方です。
この設計なら、作り替えずに全体の色を揃えられます。今より明るくなり、かつ色差も出ない。費用も天然歯側だけで済みます。
もちろん、「もっと明るくしたい」という希望が強ければ①になります。ただし作り替えは元に戻せない選択です。まず②で届く範囲を確かめてから、①を検討するという順番のほうが、後悔が残りにくくなります。
自分の場合にどの選択肢が現実的かは、インプラントの位置と現在の色を見てもらえば判断できます。
色合わせが難しくなるケース
同じインプラントでも、位置と本数によって難度が変わります。
- 前歯1本だけがインプラント。左右の天然歯に挟まれるため、わずかな差でも目に入ります
- 天然歯とインプラントが交互に並ぶ。比較対象がすぐ隣にある状態が続きます
- もともとの天然歯の色が濃い。明るくしたときの変化量が大きく、差が開きやすくなります
こうしたケースでは、目標の設定がとくに重要です。有効なのが、色見本を使って目標を共有しておくことです。「白くしたい」という言葉は人によって指す範囲が違いますが、見本の番号で伝えれば認識のずれが起きません。現在のインプラントの色がどの番号にあたるかも、同じ見本で確認できます。
この作業を最初にしておくと、②の「上限を決める」という設計が具体的な数値に落ちます。どこで止めるかが決まっていれば、進めながら迷うこともありません。上部構造だけ色が残ったときの扱いはホワイトニングの「失敗」は3つに分かれるにまとめました。
逆に、奥歯のインプラントであれば、会話や写真で見える範囲に入らないことがほとんどです。この場合は差が出ても実害が小さく、③のまま進める判断も十分に成り立ちます。
施術時に押さえておくこと
実務的な点を3つ挙げます。
上部構造の表面に付いた着色は落とせます。 材料そのものの色は変わりませんが、コーヒーなどによる表面の着色は清掃で除去できます。「インプラントが黄ばんできた」と感じる場合、この可能性があります。原因の見分け方は歯の黄ばみを取る方法は原因で決まるをご覧ください。
トレーの適合を確認します。 自宅で進める方法では、マウスピースがインプラント部にもかかります。装着時の当たり方に問題がないか、事前に歯科医院で確認しておきましょう。
天然歯側の費用は通常どおりです。 自宅で行う方法で20,000〜40,000円程度、医院での施術で1回15,000〜40,000円程度が目安になります。内訳はホワイトニングの値段はいくら?で解説しています。
※ホワイトニングは自由診療(保険適用外)です。本記事で示す金額はいずれも一般的な費用の目安であり、特定の医院の料金ではありません。
・主なリスク・副作用:施術中や施術後に歯がしみる(知覚過敏)、歯ぐきの一時的な白濁や刺激感、時間の経過にともなう色調の後戻りが生じる場合があります
・受けられない場合:無カタラーゼ症の方、妊娠中・授乳中の方、未治療の虫歯や重度の歯周病がある方などは受けられない場合があります
・効果の感じ方や必要な期間には個人差があります
なお、天然歯の色は時間とともに戻っていきます。上部構造に合わせて色を揃えたあとも、維持の施術で状態を保つという発想が要ります。頻度の目安はホワイトニングの頻度は?にまとめました。
インプラントとホワイトニングに関するよくある質問
インプラントに薬剤が触れても大丈夫ですか?
上部構造の色が変わらないのと同様に、薬剤で材料が傷むこともありません。ただし歯ぐきの状態によっては刺激を感じることがあるため、症状が出た場合は伝えてください。
インプラントが黄ばんできた気がします
材料そのものの色が変わったのではなく、表面に着色が付いている可能性があります。この場合は清掃で改善します。長い年月が経っている場合は、周囲の天然歯の色が変化して相対的に目立っていることもあります。
奥歯のインプラントなら気にしなくていいですか?
会話や写真で見える範囲に入らないなら、色差が問題になることはほとんどありません。前歯を中心に目標を決めれば十分です。
作り替えるといくらかかりますか?
材料や本数、周囲の状態によって幅が大きいため、一律の金額はお伝えできません。インプラントを担当した歯科医院に、現在の上部構造の材料とあわせて確認してみてください。
まとめ|「白くしすぎない」も設計のうち
インプラントがあっても、ホワイトニングそのものは受けられます。ただし薬剤が作用するのは天然歯だけで、上部構造の色は動きません。人工の材料には、分解の対象となる色素が含まれていないためです。
これから治療するなら、順番は「治療 → 天然歯を明るくする → 色が安定してから上部構造を作る」。色を決めるのは、最後の施術から数日〜2週間ほど空けてからです。
すでに入っている場合は3つの道があります。作り替える、天然歯の目標をインプラントの色に合わせる、そのままにする。まず検討したいのは2つ目です。 到達点に上限を設ける設計にすれば、作り替えずに全体を揃えられます。作り替えは元に戻せない選択なので、その手前で確かめることが増えたぶんだけ、後悔は減らせます。
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※ホワイトニングは自由診療(保険適用外)です。
・治療内容:マウスピースを用いたホームホワイトニング
・標準的な費用:初月22,000円(税込/マウスピース作成を含む)、2ヶ月目以降11,000円/月(税込)。マウスピースをお持ちの方は初月11,000円(税込)
・主なリスク・副作用:施術中や施術後に歯がしみる(知覚過敏)、歯ぐきの一時的な白濁や刺激感、時間の経過にともなう色調の後戻りが生じる場合があります
・受けられない場合:無カタラーゼ症の方、妊娠中・授乳中の方、未治療の虫歯や重度の歯周病がある方などは受けられない場合があります
・効果の感じ方や必要な期間には個人差があります

