歯科医院で受け取ったキットを使い始めると、ジェルの扱いについて細かい疑問が出てきます。洗面台に置きっぱなしでよかったのか。残った分は次まで取っておけるのか。「10%」という表示は、強いのか弱いのか。
このうち、結果に直接効いてくるのが保管と濃度の理解です。ジェルの主成分は熱・光・空気に触れると分解が進むため、置き場所によって作用の強さが変わります。そして濃度の数字は、見かけどおりの意味ではありません。ここでは成分と濃度の読み方、保管方法、使用期限、1本あたりの目安までを整理します。
ホームホワイトニングのジェルとは
自宅で行うホワイトニングで使う、歯科医師の処方にもとづく薬剤です。歯型に合わせて作ったマウスピースに入れ、歯の表面に接触させた状態で一定時間置くことで作用します。
主成分は過酸化尿素または過酸化水素です。国内で承認されているものは低濃度が中心で、代表的なのは10%程度の過酸化尿素になります。
市販のホワイトニング歯みがきとは、作用する場所が異なります。市販品が歯の表面に付いた着色を落とすのに対し、こちらは歯の内部にある色素に働きかけます。
使用量の目安は1歯につき米粒1つ程度です。入れ方や装着の手順はホームホワイトニングのやり方で解説しています。
濃度の数字は見かけどおりではない
「10%」と書かれていると、それが強いのか弱いのか判断したくなります。ただし、この数字はそのまま作用の強さを表してはいません。
過酸化尿素10%は、過酸化水素として約3〜4%
過酸化尿素は、そのままの形で歯に作用するわけではありません。分解の過程で過酸化水素に変わり、そこで初めて色素に働きかけます。
このとき生じる過酸化水素は、もとの濃度のおよそ3分の1です。過酸化尿素10%なら、実際に作用するのは過酸化水素として3〜4%程度ということになります。
歯科医院で行う施術に高濃度の過酸化水素が使われることを知っていると、自宅用の薬剤が随分と薄く感じられるかもしれません。ただし、この差は弱いか強いかというより、設計の違いによるものです。
濃度が高ければ良いわけではない
自宅で行う方法は、低い濃度の薬剤を長い時間かけて作用させる設計になっています。1回あたりの変化は小さくても、毎日積み上げることで到達点に近づきます。
濃度を上げれば、しみる症状が出やすくなります。歯科医院での施術が高濃度なのは、短時間で作用させる前提があり、その場で歯ぐきを保護する処置や経過の確認ができるためです。用途が違うものを、数字だけで並べることはできません。
そしてもうひとつ。到達できる明るさの上限は、その人の歯がもともと持っている条件で決まります。 濃度を上げても、この上限そのものは動きません。
保管方法
ここが、結果に影響しやすいわりに見落とされやすい部分です。
熱・光・空気に弱い
過酸化尿素や過酸化水素は、熱や光にさらされたり、空気に触れたりすることで分解が進みます。分解が進んだジェルは、同じように使っても作用が弱くなります。
見た目や使用感はあまり変わらないため、劣化していても気づきにくいのが厄介なところです。
冷暗所または冷蔵で保管する
避けたいのは、直射日光が当たる場所と、高温多湿になる場所です。洗面台の上や浴室の棚は、この条件に当てはまりやすいため向いていません。
推奨されるのは冷暗所です。歯科医院によっては、冷蔵庫の野菜室などでの保管を案内しています。ただし、冷やしたまま使うと結露が起きることがあるため、使う少し前に取り出して常温に近づけてから使います。冷凍はしません。
あわせて、使用後はキャップをしっかり閉めます。空気に触れる時間を短くするためです。
保管の状態が悪いと、手順を守っていても手応えが出ないことがあります。効果が見えないときの見直し先のひとつとして、ホームホワイトニングの効果もあわせてご覧ください。
使用期限と、1本でどのくらい使えるか
使用期限の目安
未開封の状態で1〜2年が目安とされますが、分解は少しずつ進むため、なるべく1年以内に使い切るほうが確実です。開封後は3〜6ヶ月が目安になります。
つまり、長期保存には向きません。 「今回は途中でやめて、来年また使おう」という保管の仕方は想定されていない、と考えておくと判断を誤りません。
1本でどのくらい使えるか
上下の見える範囲に使う場合で、おおむね1〜2週間分です。使用する歯の本数と、1回に入れる量によって変わります。前歯だけに使うなら長く持ちますし、奥歯まで使えば早くなくなります。
渡し方は歯科医院によって幅があります。目標に届くまでの分をまとめて受け取る形もあれば、1ヶ月分ずつ定期的に届く形をとっているところもあります。後者であれば、手元に長く置いておく期間が短くなるため、劣化の心配は小さくなります。
目標の色に届く前に足りなくなった場合は、追加の処方を受けられることが一般的です。費用の目安は1週間分で5,000円前後です。
※ホワイトニングは自由診療(保険適用外)です。上記は一般的な費用の目安であり、特定の医院の料金ではありません。
・主なリスク・副作用:施術中や施術後に歯がしみる(知覚過敏)、歯ぐきの一時的な白濁や刺激感、時間の経過にともなう色調の後戻りが生じる場合があります
・受けられない場合:無カタラーゼ症の方、妊娠中・授乳中の方、未治療の虫歯や重度の歯周病がある方などは受けられない場合があります
・効果の感じ方や必要な期間には個人差があります
費用の内訳や、表示価格の外側にかかる項目はホワイトニングの値段で整理しています。
ジェルの扱いで気をつけたいこと
最後に、押さえておきたい5点です。
- 期限を過ぎたものは使わない。 作用が弱まっているほか、性状が変わっていることも考えられます
- 他の人と共有しない。 処方は個人の口の状態にもとづいて出されています
- 説明された量を超えて使わない。 増やしてもマウスピースからはみ出すだけで、歯に接する面積は変わりません。歯ぐきへの刺激だけが増えます
- 使用後はすぐにキャップを閉める。 空気に触れる時間が短いほど、分解の進みは緩やかになります
- 余ったジェルの処分方法は歯科医院に確認する。 排水口にそのまま流してよいかは製品によります
ホームホワイトニングのジェルに関するよくある質問
冷蔵庫に入れても大丈夫ですか?
冷暗所であれば問題なく、冷蔵庫での保管を案内している歯科医院もあります。ただし、冷えた状態のまま使うと結露が起きることがあるため、使用前に少し常温に戻してください。冷凍は避けます。
期限が切れたジェルを使ってしまいました
しみるなどの症状がなければ、まず様子を見てください。以降は使用せず、歯科医院に相談して新しいものを処方してもらうのが確実です。期限切れのジェルは作用が弱まっているため、続けても手応えは得にくくなります。
ジェルが余りました。次回まで取っておけますか?
開封後の目安は3〜6ヶ月です。数ヶ月以内に再開する予定であれば、適切に保管したうえで使える可能性があります。年単位で間が空く場合は、新しいものを処方してもらってください。
濃度の高いジェルに変えれば早く白くなりますか?
到達できる明るさの上限は、その人の歯がもともと持っている条件で決まります。濃度を上げても上限は変わらず、しみる症状が出やすくなります。進み方を変えたい場合は、自己判断ではなく歯科医師に相談してください。
まとめ|数字より、状態を保つこと
ホームホワイトニングのジェルは、過酸化尿素または過酸化水素を主成分とする処方薬です。過酸化尿素10%は、実際に作用する過酸化水素としては約3〜4%にあたるため、数字の大きさだけで強弱を判断することはできません。
そして、この薬剤は熱・光・空気で分解が進みます。洗面台や浴室のような高温多湿の場所を避け、冷暗所または冷蔵で保管し、使用後はキャップを閉める。この3点を守るだけで、手元にあるジェルの状態は保てます。
使用期限は未開封で1〜2年、開封後は3〜6ヶ月が目安です。1本はおおむね1〜2週間分で、足りなくなれば追加の処方を受けられます。濃度を上げるより、決められた使い方と保管を守るほうが、結果には近道です。
東京池袋矯正歯科のホワイトニング
通院の負担を抑えたい方に向けて、オンライン診療と自宅でのケアで進めるホワイトニングをご用意しています。3Dスキャンで採得した歯型からオーダーメイドのマウスピースを作成し、歯科医師の診断のもとでホワイトニング剤と知覚過敏抑制剤をお届けします。
- 診察はオンラインで完結。マウスピースをお持ちの方は来院いただく必要がありません
- 歯型に合わせたオーダーメイドのマウスピースで、薬剤を歯の隅々まで行き渡らせます
- しみる症状に備えた知覚過敏抑制剤を同梱。経過はLINEでご相談いただけます
※ホワイトニングは自由診療(保険適用外)です。
・治療内容:マウスピースを用いたホームホワイトニング
・標準的な費用:初月22,000円(税込/マウスピース作成を含む)、2ヶ月目以降11,000円/月(税込)。マウスピースをお持ちの方は初月11,000円(税込)
・主なリスク・副作用:施術中や施術後に歯がしみる(知覚過敏)、歯ぐきの一時的な白濁や刺激感、時間の経過にともなう色調の後戻りが生じる場合があります
・受けられない場合:無カタラーゼ症の方、妊娠中・授乳中の方、未治療の虫歯や重度の歯周病がある方などは受けられない場合があります
・効果の感じ方や必要な期間には個人差があります

