今回は目立たない歯科矯正の一つ、「舌側矯正」について解説します。
「矯正をやりたいけれど、装置が目立つのが嫌だ」
「人にバレずに歯並びを治したい」
このようなニーズから開発されたのが「舌側矯正」です。
この記事で、舌側矯正とはどういうものなのか、メリット・デメリットや費用などを解説します。
舌側矯正とは
舌側矯正は、ワイヤー矯正の一種です。
ワイヤー矯正はブラケット装置とワイヤーを使って歯を動かす矯正方法で、矯正装置をつける位置によって3つの呼び名があります。
| 表側矯正 | 歯の表側に矯正装置をつける。目立ちやすいが、適応症例の範囲が広い |
| 舌側矯正(裏側矯正) | 歯の裏側に矯正装置をつける。目立ちにくく、適応症例の範囲も広い。「裏側矯正」や「リンガル矯正」とも呼ばれる |
| ハーフリンガル矯正 | 上の歯は裏側に、下の歯は表側に矯正装置をつける。表側矯正より目立ちにくく、舌側矯正より費用を抑えられる |
舌側矯正のメリット
- 矯正装置が目立たない
舌側矯正は矯正装置が周囲からほとんど見えません。
口の中を覗き込まなければ見えないほどなので、見た目を重視する芸能人も舌側矯正をしている方が多いです。
- 虫歯になりにくい
唾液には、自浄作用(虫歯や食べかすを洗い流す作用)や殺菌作用があります。
歯の裏側は唾液腺が多く常に潤っているため、舌側矯正は表側矯正より虫歯リスクが低いといわれています。
- 舌癖の改善が期待できる
「開咬」や「出っ歯」など、歯列不正の中には舌で歯を押す癖が原因の1つと考えられているものがあります。
舌側矯正は歯の裏に矯正装置がついているため、矯正期間中にこの癖の改善が期待できます。
舌癖がなくなると、矯正後の後戻りもしにくくなります。
- 前歯が引っ込みやすい
表側矯正では、前歯を引っ込めたいのに、固定源となる奥歯も前方に動いてしまうことがあります。
その点、舌側矯正は固定源が引っ張られにくい構造になっており、出っ歯矯正のように前歯を引っ込める治療を効率よく行えます。
舌側矯正のデメリット
- 滑舌に影響が出る
歯の裏の矯正装置がどうしても舌の動きを阻害するため、最初の1ヶ月程度は滑舌が悪くなります。
営業職など話すことが必要な職業の方や学生の方は、支障の少ない時期を選んで舌側矯正を始めるとよいでしょう。
- 歯磨きがしにくい
前歯の裏側は歯石がつきやすく、歯ぐきの炎症や口臭の原因につながります。
普段の歯磨きを丁寧に行うことはもちろん、定期的にクリニックのクリーニングも受けましょう。
- 表側矯正よりも高額になる
歯の裏側は、表側と違って1本1本が複雑な形をしています。
そのため、舌側矯正では表側矯正用の装置が使えません。
患者様の歯並びに合わせたオーダーメイド装置を制作するため、費用がかかります。
さらに、表側矯正よりも、ワイヤーの調整に技術と時間が必要な点も舌側矯正が高額になる要因です。
舌側矯正の費用と期間
舌側矯正の費用と期間の参考のため、表側矯正と比較してみます。
| 舌側矯正 | 表側矯正 | |
| 部分矯正 | 費用目安：40万〜70万円 期間目安：5ヶ月〜1年 | 費用目安：30万〜60万円 期間目安：2ヶ月〜1年 |
| 全体矯正 | 費用目安：100万〜170万円 期間目安：2〜3年 | 費用目安：60万〜130万円 期間目安：1〜3年 |
この他、検査代や定期検診代なども必要な場合があります。
トータルの費用目安や支払い方法は、矯正治療開始前に必ず確認しておきましょう。
「舌側矯正はおすすめしない」といわれるのはなぜ？
舌側矯正経験者からは「舌側矯正はおすすめしない」という声も聞こえてきます。
理由はケースバイケースですが、たとえば、矯正装置の違和感や、高額な矯正費用が要因の一つと考えられます。
ただ、審美性が高かったり、前歯を引っ込める治療が得意だったり、舌側矯正ならではのメリットも当然あります。
どの矯正方法を選ぶにしても、「見た目」「費用」「矯正中の過ごしやすさ」など、ご自身が歯科矯正において何を重視しているのかよく検討しましょう。
他の目立たない矯正とどう違う？
舌側矯正以外にも、「目立たない矯正」があります。
どう違うのか解説しますので、特に「目立たない」ことを重視している方は、選択肢の一つとして参考にしてください。
＜舌側矯正以外の目立たない矯正＞
- ハーフリンガル矯正
- マウスピース矯正
- ハーフリンガル矯正
ハーフリンガル矯正は、上の歯には舌側矯正を、下の歯には表側矯正を施すワイヤー矯正です。
舌側矯正よりも費用を抑えられ、対応症例の幅も広い矯正方法です。
| 舌側矯正 | ハーフリンガル矯正 | |
| 部分矯正 | 費用目安：40万〜70万円 期間目安：5ヶ月〜1年 | 費用目安：35万〜65万円 期間目安：5ヶ月〜1年 |
| 全体矯正 | 費用目安：100万〜170万円 期間目安：2〜3年 | 費用目安：80万〜150万円 期間目安：2〜3年 |
- マウスピース矯正
マウスピース矯正は、ご自身で取り外しができる透明なマウスピースを使った矯正方法です。
滑舌や食事・歯磨きなど日常生活での支障もほとんどありません。
ただし、マウスピースブランドにもよりますが、主に軽度〜中度の歯列不正の方が対象。
症例の幅はワイヤー矯正よりも狭いので、希望しても適応とならない方もいます。
| 舌側矯正 | マウスピース矯正 | |
| 部分矯正 | 費用目安：40万〜70万円 期間目安：5ヶ月〜1年 | 費用目安：35万〜65万円 期間目安：2ヶ月〜1年 |
| 全体矯正 | 費用目安：100万〜170万円 期間目安：2〜3年 | 費用目安：60万〜100万円 期間目安：1〜3年 |
まとめ
舌側矯正とは、矯正装置を歯の裏側につけるワイヤー矯正のことです。
対応できる症例幅も広く、目立たずに矯正ができます。
しかし、滑舌の問題や治療費用が高額というマイナス面もあります。
ご自身のライフスタイルにあっているか、歯科医師とよく相談しながら決めましょう。
当院は、マウスピース矯正「Oh my teeth」の導入クリニックです。
目立たない矯正に興味がある方は、ぜひ当院へご相談ください。
「私にぴったりの矯正方法はどれ？」「本当にマウスピース矯正は目立たないの？」このような相談もお気軽にお聞かせください。
